第1回シンポジウム(2013年)【経営コンサルタントは必要か?~観光業の場合~】

観光界において新しい付加価値を加える方法はあるのか?またどう創造していくのか?

~続いて、パネリストと会場の参加者が一体となって、観光業の未来について語り合いました~

会場からの質問:
現状の打破、業界のイノベーション、業界全体の活性化のために、他業界の着想が必要ではないのか?アンケートで得られた負の要因(案内板がない、無線インターネットが使えないなど)を改善するだけでなく、旅行者を魅きつける要因の創造が求められるように思いますが。(京大経済学部生)

針谷:
我々の業界独自のノウハウもあるので、一概に他業界の着想がなくてはならないとは言いきれないと思います。従来の我々のやり方において悪かったところもありましたが、他業界出身のプロのコンサルタントの方もいらっしゃいますしね。

小泉:
観光業界のイノベーションとは何か?を考えてみた時に、例えば流通という視点でみてみると、異業種からの参入による大きなイノベーションが起きています。日立造船という企業が、インターネット予約サイト「旅の窓口」(のちの楽天トラベル)を創っていますし、リクルート「じゃらん」さんなど、旅行業ではないが大きな流通改革を起こした方々もいらっしゃいますよね。現在もマーケットに関する研究や分析も進んでいますが、イノベーションとは革新という意味でもありますので、あえて旅行に出かけない人にアンケートをとり、シンクタンクリソースをつくる、そんな裏の視点でものをみるのも面白いと思います。

針谷:
今後の業界全体の活性化のためには、もっと旅行人口を増やしていかないといけない、まだまだ不足しているのが現状だと思っています。今までのような、どこの旅館に泊まっても画一的な(どこでも同じような)料理・サービスしか味わえないようでは面白くない。極端な表現ですが、Everybody welcomeではなく、1/10の人が100点をつけ、9/10の人が0点をつける、というくらいの個性のある宿の方が面白いですし、こんな宿がどんどん増えれば旅行業界は面白くなると思います。一部の人達からでもいいから、熱烈に支持されるようなものをつくり、当然ですがビジネスとして成り立つよう高収益を上げられる。あちらこちらでそういう特化した宿が増えてくれば、きっと業界は変わると思います。

会場からの質問:
今後の観光業の在り方について、どんなゴールを目指すべきだと思いますか?(ホテル関係者)

針谷:
ベンチマークをしてベンチマークを超える。それもひとつのゴールだと思います。ベンチマークをするならば、それを超える今までにないサービス・施設をお客様に提供していかねばならないと思います。商品づくりにおいて個々の旅館経営として最適であっても、旅館業界全体として最適でない場合があります。まずは個々で最適であるかどうかを考え、そのうえで社会的であるかどうかが大事だと思います。

取締役:
質問の趣旨とはずれてしまうかもしれませんが、私の海外音楽ツアーが喜ばれている1番の理由は、「みんなで楽しくご飯を食べて、みんなで楽しく話をする」この時間が提供できているからです。アンケート上のデータでは「演奏や食事が素晴らしかった」ということしかでてこないかもしれませんが、私は現場を体験しているので知っている事実なのです。お客様同士が仲良くなって楽しい時間を過ごせた、ということこそが最も喜んでもらえているんですね。これからの観光業界に関しても、サービス業として、もっと面白いものを提供できるようになれるかどうか。おもしろい=知的好奇心を旅行会社が提供できるようになれれば、業界全体がもっと発展すると思っています。

小泉:
観光事業に携わっている我々業界人は、おもしろいから、楽しいからやっているのではないかと思っています。もっとパフォーマンスの良い商売はたくさんありますし。「光を観るのが観光」であると思っていますので、人が観て面白いというものはすべて観光素材だと思ってますし、そんなものを繋げていければいいと思っています。